豊胸術「シリコン挿入」について
●豊胸術「シリコン挿入」に関する手術
ワキのシワに沿って数cmの切開を入れ、そこから胸のスペースをつくり豊胸バッグを挿入します。セデーションといわれる麻酔のもと手術が行われますので、眠っている間に手術は終わり、その日のうちに帰宅できます。
豊胸術には豊胸バックを入れる位置によって、次の2種類に分かれます。
- ・大胸筋下法:大胸筋の下に豊胸バックを挿入
- ・乳腺下法:乳腺の下に豊胸バックを挿入
大胸筋法か乳腺下法かは患者様の体形や選択するバッグの種類によっても違うためカウンセリングにて患者様のご希望にあわせてアドバイスさせていただきます。
豊胸術は手術をしてそれで終わりというわけではありませんので、術後の医師の診察やマッサージに加え、定期検診をしてくれる医院を選びましょう。一生物の手術なので、将来のことまで考えてくれる医師や病院選びが重要です。
豊胸術「シリコン挿入」:大胸筋下法
●特徴
- ①万が一、カプセル拘縮を起こしても大胸筋でカバーされるため、乳腺下法に比べてわかりにくい。
- ②全く乳腺が無い方(Aカップ以下)は大胸筋下法が良い。
●ご注意いただきたいこと
- ①筋肉の下を剥がしてバッグを挿入するために術後の痛みが強い。
- ②胸に谷間が出来にくい。
- ③大胸筋で押さえつけられるため、乳腺下法に比べ硬い。
豊胸術「シリコン挿入」:乳腺下法
●特徴
- ①胸の谷間が出来る。
- ②やわらかい。
- ③垂れている胸も張りのあるバストUpが可能。
●ご注意いただきたいこと
- ①万が一、カプセル拘縮を起こした時は体表に近い分ごまかしが利きにくい。
- ②全く乳腺が無い人(Aカップ以下)には向かない。
豊胸(シリコン挿入)の手術時間
90分~120分
豊胸(シリコン挿入)の処置期間・アフターケア
手術当日
【ご来院】
- 患部の状態
- シリコンを固定するため、また腫れや内出血を少なくするために胸には包帯を巻きます。
ドレーンはお胸の部分に溜まっていらなくなった血液や麻酔液を出すためのものです。
わきの下の傷にはガーゼがつきます。 - 処方箋
- ・抗生剤 ・痛み止め ・止血剤
- アフターケア
- 痛みに対しては、痛み止めでコントロールして下さい。
- 日常生活
- しばらくは脱ぎ着のしやすい前開きのゆったりした洋服の着用をオススメします。
術後3か月間は胸の硬縮を防ぐため、胸が固定されないようブラジャー(ワイヤー入り)のご使用はできません。
乳頭が乾燥して痛い場合は、絆創膏で保護してください。 - 注意点
- ドレーンは強く引っ張ったりしないように気を付けてください。
1日目
【ご来院】
ドレーン抜去
- 患部の状態
- ドレーンが取れ、包帯圧迫のみとなります。
- 清 潔
- 包帯を濡らさないようにして頂ければ下半身はシャワー浴ができます。
胸の包帯が外れないように気をつけてください。 - 注意点
- 腕は挙げずに、できる限り脇を締めた状態でお過ごしください。
術後、乳頭にしびれが生じたり、感覚が鈍くなることもありますが、3か月程度で落ち着いてきます。
飲酒・喫煙は術後しばらく控えてください。
3日目
【ご来院】
包帯除去
- 清 潔
- シャワー浴は可能ですが、脇の傷口はこすらないようにしてください。
ただし抜糸までは傷口に石鹸がつかないようにしてください。
脇の傷口には抜糸までの間、毎日軟膏を塗り、ガーゼを当てて頂きます。
胸の上部には抜糸まで包帯を巻いて頂きます。
洗髪も可能ですが、なるべく脇を締めた状態で行うように心がけてください。 - 日常生活
- 重いものを持ったり、腕に負担のかかることは避け、胸は強く触らないようにしてください。
- 注意点
- お胸に直接シャワーを当てると痛みがあると思いますので、肩からシャワーを流すようにしてください。
内出血が出る場合がありますが、2週間ほどで落ち着いてきます。
7日目
【ご来院】
抜糸
- 清 潔
- 抜糸をした後は傷口の軟膏およびガーゼの処置は不要です。
抜糸後翌日より入浴が可能となります。(脇と胸は強く洗わないようにしてください)
抜糸後翌日より傷口に石鹸を使用して頂いてかまいません。 - 日常生活
- 少しずつ腕を上げるようにしてください。
術後2週間までは胸は強く触らないようにしてください。 - 注意点
- 腫れや痛みは徐々に落ち着いてきます。
2週間目
【ご来院】
マッサージ
- 患部の状態
- 硬縮予防のためのマッサージを開始して頂きます。
マッサージについては当院で指導します。
マッサージのために1週間に一度通院して頂き、3か月間毎日ご自身でも行って頂きます。 - 日常生活
- 脇の傷口が固くなり始め、つっぱり感が出たり腕が上げにくくなったりします。
お風呂で固くなったところをほぐすようにマッサージしてください。
3週間目
【ご来院】
マッサージ
- 患部の状態
- マッサージが出来ているかどうか確認するため来院して頂き指導致します。
1ヶ月
【ご来院】
検診
マッサージ
- 患部の状態
- 術後の腫れもなくなりより自然な柔らかい感じになります。
傷口の赤味も時間の経過とともに目立たなくなっていきます。 - 日常生活
- 検診時に医師が確認し、状態によっては、パット付きキャミソールかスポーツブラを着用可能になる場合があります。
術後3か月間はブラジャーの使用はできません。
マッサージ通院は続けて頂きます
3ヶ月
【ご来院】
検診
マッサージ
- 患部の状態
- 違和感はほぼなくなります。
より柔らかさが出てきます。 - 日常生活
- ワイヤー入りのブラジャーがつけれるようになります。
豊胸(シリコン挿入)の注意事項
●豊胸術の歴史
豊胸術が施行され始めた当初は乳腺下法が主流でした。
しかし、当時は技術不足やバッグの製品の未完成などの問題から、術後のカプセル拘縮や変形の頻度が多く、大胸筋の下に入れた方が大胸筋でカバーされるためごまかしがききやすいという発想から大胸筋法へとシフトしていきました。
しかし、ここ数年では技術が確立しバッグの精度も向上したためカプセル拘縮や変形を起こすことは稀で再び乳腺下法が主流となってきました。大胸筋下法と乳腺下法を比べると、明らかに乳腺下法の方が自然で、術後の痛みも軽いため、現在では大胸筋下法はやや時代遅れとなってきています。
しかしAカップ以下の胸では大胸筋下法の方が適している場合も多いので患者様の体型や希望するバッグなどから適した方法を使い分けるのがよいと思われます。カプセル拘縮はごく少数の方に起こる体質によるもので防ぎようがないと言われてもいますが、実際には体質というより、手術手技や術後の管理不足により起きている例がほとんどでしょう。
●カプセル拘縮について
生体内に異物(豊胸バッグ)が挿入されると、人間の体はその異物を排除しようとする生体反応が働きます。
その機構によってバッグの周囲に被膜が形成されます。被膜がバッグを圧縮するように硬く厚く出来上がってしまうと硬くなり、これをカプセル拘縮といいます。カプセル拘縮を起こさないように術後はマッサージ(バッグを動かす)にてバッグの周囲にスペースを作り厚い被膜ができないようにしなくてはいけません。従って、術後3ヶ月程度はマッサージが必要となります。カプセル拘縮は一部の方に起こる体質的なもので、しょうがないとされております。確かに体質的なものによるところはあるのですが、私個人の見解としては手術手技的なものや アフターケアの不備によっておこっているケースがほとんどであると思います。
●カプセル拘縮を予防するためには…
- ①手術手技
一番の原因は剥離不足にあります。剥離をしたつもりでも剥離が非常に雑で、中で線維状の組織が残っていて剥離しきれない。このようなケースがカプセル拘縮につながっていることが多いでしょう。通常、剥離する際には鈍的な棒(剥離棒)をつかって剥がすのですが、見えないところを棒で 剥がすのでどうしても剥離不足が起こりがちです。当院ではすべて医師の指で剥離するため剥離残しがないかをすべて確認し、均一なレイヤーで丁寧に剥離します。 - ②術後ドレーンを挿入
豊胸手術の際、バッグを入れるスペースをつくった部位に血液が溜まると、その血液が器質化してカプセル拘縮を引き起こす原因となる可能性があります。ドレーンとはスペースに血が溜まらないように留置させておく管で中に血液が溜まり器質化するのを防ぎます。 - ③術後のマッサージ通院
後述しますが現在では術後のマッサージが不要というテクスチャードバックを使用している病院が多数ですが、このタイプのバックを挿入したうえでも術後のマッサージを行ったほうが明らかに仕上がりがやわらかいといえます。術後3ヵ月間は医師の診察のもとにしっかりマッサージを受けましょう。そうすることによりカプセル拘縮の前兆があった際にも早期に対処することができます。
※手術が成功しても術後の管理体制が悪く、良い結果につながらなかったという例も少なくありません。当院では上記3つを徹底することでカプセル拘縮の確率をほぼゼロに近い状態にしております。
※以上からお分かりのように豊胸術は丁寧な手術と術後管理が非常に大切なのです。 丁寧な手術としっかりとした 術後管理を行ってくれる病院選びが重要です。
●豊胸バッグの種類
スムースタイプ‥表面がつるつるしていて滑らか 術後マッサージが必要
テクスチャードタイプ‥表面がざらざらしていて表面積が大きいためカプセル拘縮を起こしにくい。
また術後のマッサージも不要といわれてはいるが…
※当院で使用するのはテクスチャードタイプですが前述の通りテクスチャードタイプを使ったうえでも三ヶ月間はマッサージを施行いたします。