ワキガの治療について
治療法による効果と傷跡の関係
ワキガの治療について、現在では多くのクリニックでさまざまな治療法が紹介されております。 ここでは患者様が情報に惑わされずご自身の希望にあった方法を選べるよう治療についてご説明します。
●効果を出すには
原因である汗腺をしっかり除去する必要があります。完全に除去出来ていなければ、術後汗やニオイがまだ気になるという事になります。
●効果と傷跡の関係
ワキガの手術の際、患者様が特に気にされるのは治療効果と傷跡についてです。まずは傷跡に関してご説明します。
わきが(ワキガ)手術後の傷跡は大きく分けて2つです。
- ①切開線の傷跡に関して
切開部は豊胸手術の傷跡と同様、脇のしわと同化し時間の経過によりほぼ目立たなくなるため必要以上に気にする必要はありません。
最近では切開幅の小ささを特徴にしているクリニックもありますが、そのために汗腺の除去が不完全になったり術中の確認できる幅が狭くなることで不必要に真皮を傷つけてしまうリスクが考えられます。 - ②有毛部の汗腺除去部位の皮膚の状態
わきが(ワキガ)の手術跡でもっとも気にしなくてはいけないのが、この部分です。
はじめに皮膚の仕組みと傷跡のご説明をします。
表皮は1ヶ月位で生まれ変わり、新しく再生されますが、真皮は再生されません。
真皮層にダメージが加わる事が術後の傷跡に大きく関係します。真皮へのダメージが多ければ術後の傷跡(皮膚の硬さや黒ずみ)の回復が遅く、ダメージが少なければ回復は早いという事になります。
次に汗腺の除去と真皮へのダメージについてご説明します。
アポクリン腺の除去では、真皮より下の脂肪層にアポクリン腺が多く分布するので除去の際真皮のダメージが少なくてすみます。
※アポクリン腺は大部分は脂肪層寄りにありますが一部は真皮側にへばりついているため、完全に除去しようとすれば真皮へのダメージは大きくなります。
エクリン腺の除去では真皮にへばりついているため除去する際、真皮へのダメージは大きくなります。
エクリン腺の除去では真皮にへばりついているため除去する際、真皮へのダメージは大きくなります。
●手術方法による手術効果と傷跡の関係
当院が剪除法にこだわる理由
当院では、完治を望まれる方には剪除法をすすめております。前述のとおり、切開線の長さは気にする必要がなく術後の傷跡に関しては汗腺の除去量で調節出来るからです。100%完治を求める方、80%完治を求める方に合わせて汗腺の除去量を調節します。また切開線をしっかりとって手術するため、視野も良く不必要に皮膚にダメージを与えなくてすむからです。さらに当院では、皮膚(真皮)へのダメージを最小限に抑え汗腺を除去する独自の工夫をおこなっております。
剪除法の手術方法
剪除法の工夫
術後、微小な出血が皮膚の下で器質化することで回復が遅れます。そのため当院ではドレーンホール(血を外に出す穴)を作製し、中で微小出血が器質化するのを最小限におさえます。
剥離した皮膚がしっかりくっつくように、術後「アンカー」といって皮膚が浮かないように糸でとめておきます。当院ではこのアンカーを通常の倍以上かけることで術後のつらい圧迫固定を最小限ですむようにしています。またアンカーを多数かけることで、皮膚がよれたりせず、しっかり定着するようにしています。当院では上記の工夫をおこなうため通常の1.5倍の手術時間がかかります。もちろん手術時間は長くても術中痛いわけではないので、眠ってしまう方、看護師とお話をしている方、音楽を聞いている方などさまざまです。
剪除法の手術時間
2時間30分
剪除法の処置期間・アフターケア
手術当日
【ご来院】
- 患部の状態
- 処置をした部分に血液やリンパ液が溜まらないようにするため脇にガーゼ・包帯・テープ固定をします。手術後の固定より腕のしびれやむくみが出る可能性がございますが、時間と共に軽減していきます。症状が強い場合はご連絡下さい。
- 処方箋
- ・抗生剤 ・痛み止め
- アフターケア
- 痛みに対しては、痛み止めでコントロールして下さい。
1日目
【ご来院】
検診
- 患部の状態
- ガーゼ交換・状態確認のためご来院して頂きます。
- 清 潔
- 洗髪、下半身シャワー浴が可能となります。
- 日常生活
- 腕を上げないようにし、出来るだけ脇を閉めた状態でお過ごしください。
固定をしている間は前開きの洋服でゆったりしたものをお勧め致します。
3日目
【ご来院】
検診
- 患部の状態
- 包帯除去のためご来院して頂きます。
包帯固定が外れた後から抜糸まで軟膏をつけガーゼで保護して下さい。 - 清 潔
- 固定が外れたら全身のシャワー浴が可能となります。ただし抜糸までは傷口に石鹸がつかないようにしてください。洗髪の際は脇をなるべく開かないように気を付けてください。シャワー後は軟膏を塗ってお渡ししたガーゼで保護して下さい。
- 日常生活
- 重いものを持ったり、腕を水平以上に上げないようにしてください。
- 注意点
- 内出血が出る場合がありますが、2週間程度で落ち着いてきます。
1週間目
- 患部の状態
- 処置をした部分の皮膚が硬くなって突っ張る感じが出てきます。(硬縮)
10~14日目
【ご来院】
抜糸
- 患部の状態
- 抜糸をします。抜糸後翌日より入浴が可能となります。
( 脇は強く洗わないようにしてください) 抜糸後翌日より傷口に石鹸を使用して頂いてかまいません。突っ張り感は強くなってきます。 - 日常生活
- 腕の上げ下げは徐々に体を慣らしていくようにして下さい。
1ヶ月
【ご来院】
検診
- 患部の状態
- まだ部分的に硬縮が残っている場合があります。通常の経過ですのでご安心ください。
処置部分の色味は時間の経過とともに(半年~1年かけて)薄くなっていきます。 - 注意点
- ハードな運動は1 ヶ月を経過してから行うようにして下さい。
腋部分の硬さがある部分を入浴時などにもみほぐすようにマッサージをすると回復が早くなります。
3ヶ月
【ご来院】
検診
- 患部の状態
- 硬縮がなくなり、皮膚が柔らかくなってきます。半年程度で落ち着いて参ります。
脇の毛の処理は半年以降より可能でございます。
6ヶ月
【ご来院】
検診
- 患部の状態
- 検診にて状態を確認させて頂きます。
アドバイス
1ヶ月後
3ヵ月後
6ヶ月後
1年後
この手術は切除が基本です。キレイに縫合すればキズはほとんどわかりません。他院術後で傷跡が気になるという方も修正できますのでご相談ください。